Kittyは映画が大キライ

私の私による私のための映画レビュー

『ROCK YOU!』 映画と歴史と批評家と

『ROCK YOU!』(原題 : A Knight's Tale )

ブライアン・ヘルゲランド監督

2001年

 

スポーツ!ロマンス!ロックンロール!若きヒース・レジャーの笑顔が眩しい、歴史青春スポーツドラマです。お姫様は正真正銘のバカだし、ライバルのアダマー卿は近頃では珍しいステレオタイプの卑劣漢だけど。それでもやっぱり青春ものにはハッピーエンドがよく似合う。わかりやすく、気持ち良くたのしめる作品だと思います。

音楽もいいですね。百年戦争期のヨーロッパと20世紀のロック・サウンドのありえない取り合わせなんともご機嫌です。中世の宴会がディスコになっちゃうシーンなんか観ていて嬉しくなっていまいます。

 

ところでこの映画、批評家の評価は芳しくないご様子。Rotten Tomatoes を覗いてみると、オーディエンスからの支持率は79%と酷くはないのに、批評家からは58%。コンセンサスでも「時代錯誤な馬上『ロッキー』」くらいの言われようです。否定的な意見をちらっと覗いたところ、批判の焦点はどうやら2つありそうです。

 

 第1点目は歴史の問題です。先述の通りこれは中世西ヨーロッパの話なのですが、果たしてその必要があったのか。中身はただの現代劇ではないか、という指摘です。

たしかにこれはごもっともで、詰めの甘いところはあるんでしょう。人種問題はさておいても、お姫様が公衆の面前でいちゃついたり妙な服を着ていたり。平民と貴族の階級闘争的(とは言わないまでも、階級意識の描写は間違いなくマルクス以降の思想を経験した現代人のそれ)な描写が匂ったり。無意識でしょうが。西欧史に蒙い私ですらそう思います。しかも音楽はクイーンです。一部の批評家と大部分の観客は斬新な演出として好意的に受け入れていますが、やはり気にくわない人はいるみたい。

 

第2点目は内容がつまらない。どっかでみた。ロッキーでいいじゃん。身も蓋もない意見がこれでもかと並びます。身分が低い若者が身分を乗り越えて愛と栄光を掴む。同じスジの映画は無数にありますし、お仲間と比べてこの映画が特に優れた点はありません。

 

大雑把にはこんな具合ですが、こうした意見は妥当ではあっても的外れではないでしょうか。ぶっちゃけそんなに頭悩ませて観るような映画じゃないと思うんですよ。青春映画だもの。可愛い男の子が一生懸命頑張る映画。結末も予想がつくから安心して観ていられますし。歴史考察とか目新しさとか内面描写とかいらないでしょ。素直に楽しめばとっても面白い映画なのに、なんだかもったいなくないですか。

この映画を見るときは一つ、肩の力を抜いてどうぞ。