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Kittyは映画が大キライ

私の私による私のための映画レビュー

『ブラック・スワン』 フロイトの忘れ物

『ブラック・スワン』(原題:Black Swan) ダーレン・アロノフスキー監督 2010年、アメリカ フロイト精神分析の世界 この映画を観ていて、いつもの通りの心理物理学的な映像の物理特性に対するアプローチ、あるいは表彰文化論的な映像表現と演技の特性に対…

4月の覚書

お勉強にバイトにお引っ越しでもう目の回るような忙しさだったここ3ヶ月。落ち着いたからこれからのことをほんのちょっとだけ書いておきます。 ①映画と心理学のお話 やっぱりベースとなるのはこの話題です。進学及びその後の研究計画を踏まえて、今年度はさ…

『ラ・ラ・ランド』 映画が映画を殺した日

『ラ・ラ・ランド』(原題 : La La Land) デミアン・チャゼル監督 2016年 アカデミー賞がどうとか、ストーリーが云々とか、そんなことはどうだっていいのです。この映画は、映画が背負い、築きあげてきた全てを乗り越えてしまいました。 映画のリアリズム ア…

『ノスタルジア』 映画は解釈できるか

『ノスタルジア』(原題 : Nostalghia) アンドレイ・タルコフスキー監督 1983年、イタリア・ソ連 なんでこんなに退屈なんでしょうか。思わせぶりでありながらも理解と共感を許さない独善的な芸術家気取り。しかも映画的な"歓び"を一切持たない映像。これが芸…

『世界にひとつのプレイブック』 神話とドラマの映画たち

『世界にひとつのプレイブック』(原題: Silver Linings Playbook) デヴィッド・O・ラッセル監督 2012年 決して駄作ではない 極めて評価の高い作品で、私も楽しめました。双極性障害を抱える男性(ブラッドリー・クーパー)が人との出会いと困難への挑戦を通じ…

『この世界の片隅に』 アニメなんて観ないと思ってた

『この世界の片隅に』 片渕須直監督 2016年、日本 私はアニメーション作品を批評する技術と知識を持たないため、普段は滅多に観ないのですが、今作についてはユーロスペースの宣伝を見て以来気になってはいました。そんなときに三浦哲哉先生の絶賛を耳にした…

『ファンタスティック・ビースト』と魔法使いの旅』 ありがとう、ほんとうにありがとう

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(原題 : Fantastic Beasts & Where to Find Them) デヴィッド・イェーツ監督 J・K・ローリング脚本 2016年、イギリス・アメリカ ここしばらく大学が忙しくて映画を全然観られなかったんですが、ポッタリアン(…

『PK』/『きっとうまくいく』 どうしちゃったのインド?

『PK』(原題 : PK) ラージクマール・ヒラー二監督 2014年、インド 『きっとうまくいく』(原題 : 3 Idiots) ラージクマール・ヒラー二監督 2009年、インド ちょっとした偶然から 映画好きの母に勧められたものの、私は『きっとうまくいく』の録画ディスクを放…

『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-』 短い作品です

『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-』 オーランド・ヴォン・アインシーデル監督 2016年 Netflixが作ったドキュメンタリー映画を観ました。40分の短い作品です。 今日は映画じゃない話をしましょう。 私はクリスチャンです。神様を信じています。…

『我らが背きし者』 かくも狂おしきスパイ映画

『我らが背きし者』(原題 : Our Kind of Traitor) スザンナ・ホワイト監督 2016年、イギリス 粗々ですが、また考え込んでお蔵入りする前にとりあえずまとめてしまいます。まさかここまで面白いとは。 王道のようで邪道、邪道のようで王道 原作はル・カレです…

『天才スピヴェット』 映画における"event"とは

『天才スピヴェット』(原題 : L'extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet) ジャン=ピエール・ジュネ監督 2013年 遊び心に溢れた愛らしい映像 『アメリ』(2001年)の監督が撮ったロード・ムービー。渋谷でかかっていたときに観損ねたのが、Net…

『高慢と偏見とゾンビ』 心の底から楽しめました

『高慢と偏見とゾンビ』 バー・スティアーズ監督 2016年 不朽の名作、感染。 (日本版ポスターより) ということで、最初は完全にイロモノ、B級映画だろうと思って観に行ったんですが完全に足元をすくわれました。そりゃあ、粗は目立つし、展開も詰め込み過ぎ…

『17歳のカルテ』 ホラー映画の方法論

『17歳のカルテ』(原題 : Girl, Interrupted ) ジェームズ・マンゴールド監督 1999年 現実が揺らぐ前半 この映画の特徴的な演出の一つは、前半部分で多用されるカットバックでしょう。基本的にはウィノーナ・ライダー演じる主人公・スザンナが誰かと対話し…

【NT Live】『ハード・プロブレム』 心理学は科学か?

『ハード・プロブレム』トム・ストッパード作 ニコラス・ハイトナー演出 オリヴィア・ヴィノール主演 イギリスのナショナル・シアターでの舞台公演を日本の映画館で観るという、ナショナル・シアター・ライブ。いままでは観損ねることが続いてしまったけど、…

『柘榴坂の仇討』 見えないものを、見える形に

『柘榴坂の仇討』 若松節朗監督 2014年、日本 中村吉右衛門観たさに もう2年近く前の作品になるんですか。横浜ブルク13で観たのをよく覚えています。普段は邦画をあまり観ないのですが、この作品は敬愛する中村吉右衛門が出演しているということで、喜び勇ん…

『フレンチアルプスで起きたこと』 圧倒的シュール

『フレンチアルプスで起きたこと』 リューベン・オストルンド監督 2014年、スウェーデン 渋谷のユーロスペースで23日まで開催中の『スウェーデン映画祭』でかかっていた一本です。ブラックコメディという話でしたが、あんまりにもシュールすぎました。 音が…

【試写会】『ハドソン川の奇跡』 毛色の違う傑作

『ハドソン川の奇跡』(原題 : Sully) クリント・イーストウッド監督 2016年 クリント・イーストウッドは私が最も敬愛するところの映画作家であり、私が映画というメディアを真剣に捉えるきっかけになった存在です。不勉強ながらすべての作品を観てきたわけで…

【ネタバレあり】『ぼくのエリ 200歳の少女』 「夜」の感性

『ぼくのエリ 200歳の少女』(原題 : Låt den rätte komma in)トーマス・アルフレッドソン監督 2008年、スウェーデン 『裏切りのサーカス』(2011年)のアルフレッドソン監督によるホラーの傑作です。 この映画の魅力と介在する諸問題について語るにはどうして…

【試写会】『ある天文学者の恋文』 人間の最も豊かな営み

『ある天文学者の恋文』(原題 : Correspondence) ジュゼッペ・トルナトーレ監督 2015年 幸運なことに試写会に当選したので、一足早く観ることができました。ありがたいことです。 大変素晴らしい作品でしたので、たまにはあらすじも添えてみます。若干ネタバ…

『スーサイド・スクワッド』 やっぱりお前か

『スーサイド・スクワッド』(原題 : Suicide Squad) デヴィッド・エアー監督2016年 Rotten Tomatoesで26%ってマジかよ。例によってCritic Consensusの項を流し読みすると、どうやら監督と脚本が槍玉に挙げられている様子。それでは実際のところどうだった…

『シン・ゴジラ』 ゴジラと庵野のキャスティング

『シン・ゴジラ』 庵野秀明総監督 樋口真嗣監督・特技監督 2016年、日本 金曜日にようやく鑑賞できました。というわけで、おそらく今年最大のダークホースであろ『シン・ゴジラ』の感想です。邦画に関してはほとんど勉強していないので拙い論ではありますが…

『ROCK YOU!』 映画と歴史と批評家と

『ROCK YOU!』(原題 : A Knight's Tale ) ブライアン・ヘルゲランド監督 2001年 スポーツ!ロマンス!ロックンロール!若きヒース・レジャーの笑顔が眩しい、歴史青春スポーツドラマです。お姫様は正真正銘のバカだし、ライバルのアダマー卿は近頃では珍しい…

『ボーダーライン』 キャメラが導く驚きとサスペンス

『ボーダーライン』(原題 : Sicario) ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督 2015年 開幕。 重装備の特殊部隊が展開。移動する車の中で緊張した女性隊員の顔のアップ。突撃。車で壁を突き破る。 冒頭の短いシークエンスにこの映画の魅力の魅力、驚きとサスペンスが凝縮さ…

『ジャンゴ 繋がれざる者』 "タランティーノ"という歓び

『ジャンゴ 繋がれざる者』(原題 : Django Unchained) クエンティン・タランティーノ監督 2012年 タランティーノの映画は冗長で、芝居がかっていて、ご都合主義的である。その独特のリズム感は、限りなく純粋な映画の歓びである。 わけのわからない戯言はさ…

私の私による私のための映画レビュー

いままではTwitterで垂れ流していた映画レビューですが、あまりに膨大になったのでブログにまとめることにします。 開設にあたっていくつかこのブログの方針を。 ・映画の感想を書くブログであって、批評をするブログではない。批評の方法論を修めていないか…